脳裏に泣いている妃奈が思い浮かんだ。

なんだこれ……


「紅、確か妃奈ちゃんと契約してたよね」

雨衣に言われて頷く。

「契約するとね、人間が危機を感じて無意識に助けを呼ぶ時吸血鬼にも届くんだよ」

「そうなのか……?ってことは!」

「今妃奈ちゃん達が危険な目に合ってるってことか?!」

雷火が勢いよく立ち上がる。

「わかんねぇけど……急ごうぜ」

ゲーム機を放り投げて急いで走る。
何となく場所がわかる気がする……泣いてた妃奈の場所は……裏路地か?

「映画館の近くにいるはずだから……あそこじゃない?」

雨衣が指さしたのは人気のなさそうな裏路地。

「あそこか!」