「えっとね〜」

俺が持ってるパンフレットを覗き込んで、

これはなに?
ここは?

と質問してくる桃奈さん。

ついさっきまで、

桃奈さんがきてくれて嬉しい

とか、

今日の桃奈さんいつもよりさらに可愛い

とか、

ライブで目があって嬉しかった

とか思って舞い上がってたけど…

彼氏のような人…

気になるけど、

桃奈さんにこれ以上聞かない方がいい気もして、聞けなくなった。

「れいちゃん、きいてるー?」

すぐ近くにボーッとした俺を心配して覗き込む桃奈さんの顔があって驚く。

…だから鈍感っていうか、

危機感ないのかよ。

彼氏がいたんだっていうショックと相まって少しモヤモヤする。

いや、こんな魅力的だからいないわけないんだけど、

あの悲しげな顔とか見ると…

少しだけムカつく。

桃奈さんにあんな顔させたこともそうだけど、

桃奈さんの心にそんなに残れていることに、嫉妬する。

俺なんか弟カウントなのに。

…俺も男としてみてよ。