はるちゃんの合宿も終わって試合までの唯一のオフの日の前日、
いつも通り4人がうちに遊びに来てて、
私は5人分のご飯を準備してると、
「手伝わせてください。」
と茉由ちゃんが話しかけてくれる。
少し驚いて、
「え、いいの?」
と返すと、
「桃奈さんとお話ししたかったので…」
と返ってくる。
話…
れいちゃんのことかな。
「今まで、…子供みたいに絡んですみませんでした。」
え、あ…
私は首を横に振ると、
「玲司と合宿の後に話して…ずっと認めたくなくて本当は気付いてるのに自分の中で気づかないフリして玲司といたんですけど、ハッキリ言われて…悔しいけど、ようやく自分の中で決心がつきました。」
茉由ちゃんは野菜を切りながらポツリポツリと言葉をつないでいく。
「私は…玲司の幼なじみのままでいます。絶対幸せになってあいつにギャフンと言わせてやります。」
少し寂しいそうに笑って言う茉由ちゃんに、
どう自分が声を上げていいのかわからず黙ってしまう。
「幼なじみでも…私がそばにいるのはやっぱり嫌ですか?」
「そんなことないっ!…あの、ありがとう。こうやって私に話してくれて…。茉由ちゃんとこうやって…話せて私は嬉しい。」
そう伝えると、
茉由ちゃんはため息をついて、
「やっぱり敵わないです。…桃奈さんに憧れてしまう自分も今までいてでも認めたくなくてモヤモヤしてたんですけど、決心ついてスッキリしたので、自分勝手ですけど…これから色々お話ししてもいいですか?」
最後の方は小さな声でいう茉由ちゃんに、
包丁が危なくないように抱きつく。
「もちろん!」
「…ありがとうございますっ」
茉由ちゃんも私も少し涙が出てきたら、
いつのまにかキッチンに萌愛ちゃんがきてて、ティッシュを渡してくれる。
持ってきた萌愛ちゃんもそれを使ってて、
なんだかおかしくなって3人で笑った。
ふふ、
嬉しいな。
でもこの嬉しさは、茉由ちゃんが苦しんで頑張って決心してくれたから。
それはずっと忘れない。