じゃあね、お疲れ様!なんて笑顔で言い切って、
歩き出そうとするのに手が離されない。
「れいちゃん…手。」
「…爽くん…さんですか。」
え。
あ…爽くんの方を見ると爽くんはニコニコしてる。
「そうだよ。れいちゃん…かな?」
ふふって楽しそうな爽くん。
なんでこの状態で楽しそうなの…
「はじめまして、成瀬玲司です。」
「成瀬くん、ももの手、離してもらっていいかな?これからまだやることいっぱいで忙しそうだからさ。」
「…爽さんも一緒に桃奈さんちに帰るんですか。」
え、違うよ?と説明しようとしたら、
爽くんが代わりに、
「うん。なんか不都合?」
といつものペースで答える。
え。
「桃奈さん「玲司!私との買い物中でしょ!」」
茉由ちゃんがれいちゃんの腕にひっついて、
私を握るれいちゃんの手を振りほどく。
…
「帰るね、れいちゃんも茉由ちゃんもまた遊びにきてね!」
とだけ言い残して、
爽くんの腕を引いてその場を離れる。