「あ。」
ふと目線を上げると、
声が溢れる。
部活のジャージ姿のれいちゃんと茉由ちゃん。
絵になるなぁなんて思って、
棒立ちしてたら、
れいちゃんも気づいたのか目があって固まる。
茉由ちゃんと買い物…
私がご飯誘っても冷静に今度でいいよって言うのに。
可愛くもないドロドロしたものが流れてくる。
私がとまった視線の先をみて、
「綾ちゃんの弟っていうから美形だろうなとは思ってたけど…すごいイケメンだね。」
爽くんは呟く。
私はこんなドロドロした感情を消したくて、
「爽くん…帰ろう。」
「え、せっかく会えたのにいいの?…まぁ女の子もいるけど声くらいかけていけば…」
「爽くん、帰ろ。」
2回目の私の声に爽くんはヤレヤレって声で、
「ももがいいなら、帰ろっか。」
とついてきてくれる。
「桃奈さん!」
っ!
れいちゃんの手が私の腕を掴む。
「れいちゃん久しぶり。はるちゃんはもう帰っちゃった?」
れいちゃんは顔を少し歪めて、
「今は別行動してるけど、買い物一緒に来てます…もうすぐ解散すると思います…」
と答えてくれる。
「そっか!じゃあはるちゃんより早く帰ってご飯準備しないとだから帰るね!」