ープツン

私は自分でもわからないうちに通話終了ボタンを押しちゃってて…

「何、してんだろ」

慌てて、れいちゃんにLINEで、

『なんか間違えてボタン押しちゃった!落ち着いたらまた連絡します。ごめんねいきなり。』

とだけ送って鞄の中にしまう。

また改めて重い足取りで家に戻ろうとすると、

「もも?」

馴染みのある声。

「爽くん…」

振り返ると晴翔のお兄ちゃんで私にとってはヒーローの爽くんがいて、

鼻の奥がツンとして涙が出そうになるのを必死に止める。

…もう頼らないって決めたじゃん。

「もも最近忙しいんだって?晴翔が心配してるよ?」

爽くんは買い物袋を私の手からスッと抜き取って持って歩き出す。

「ありがとう…」

爽くんは優しく笑って、

「家まで持ってあげるから。電話の彼ともう一度話したら?」

と答える。

「聞いてたの…?」

「近くで買い物して帰ろうとしたら電話してるももが見えただけ。遥くんじゃなさそうだと思って聞いてみただけだよ。」

「…今すぐにでも時間作ってでも会いたいのは私だけみたい。れいちゃんは大人で冷静…。ううん、ごめんなさい、わかってるんだけど…心配してくれてるって…。」

私の言葉に爽くんが笑う。

「俺以外にももが駄々っ子みたいになるの初めてみた!」

…嬉しそう。