部活終わりに玄関を開けると
もはや慣れた二つのローファー。
「ただいま」
「おかえり!玲司!」
「あれ、今日は桃奈のとこ寄らなかったの?」
…。
聞くなら今か。
でも絶対面倒なことになる…
でも桃奈さんが喜ぶものをプレゼントしたい…
「寄ってない。…恭介さんちょっと。」
「え?おれ?」
まずは恭介さんを引っ張って、
「姉貴へのクリスマスプレゼントって何買うんですか?」
「あぁ!もう買ったよ。綾は意外に高いブランドものとか興味ないから、綾が好きなのプチプラコスメの人気の新作つめこみにしたけど…」
にやーっと笑う。
恭介さん絶対楽しんでる。
「そう…ですか。桃奈さんって、」
「俺より綾のが詳しいと思うよ?」
…やっぱりか。
はぁ。
「姉貴。」
「なによ。」
「桃奈さんって…」
わかりやすく顔がニンマリとする。
…くそ。
「桃奈さんって欲しいものあるとか言ってなかった…」
「ふぅーん、へー、第二の弟もどきくんからクリスマスプレゼントかぁ、ほー!」
笑いながらからかってくる。
…聞いた俺がバカだった。
自分の部屋に戻ろうとしたら、
「桃奈は高いものは嫌がると思う。ハンドクリームとかは?最近バイトと家事で手が荒れるって言ってたし、がんばれ弟もどきくん♡」
「まったく綾は…すぐからかう…」
「…わかった。さんきゅ」
それだけ伝えて背中を向けると、
え、なにこわいという声が聞こえる。
…感謝なんか言わなきゃよかった。