「明輝ちゃ……」
「そう。もう私、走れないの。」
自分で言葉にすると、痛みが増す。
2年半経っても、まだ受け入れられずにいる自分がいるのだと、痛感させられた。
そんなのわかってる。
忘れられないことぐらい。
「やっぱり…体よくないの?」
「私、喘息持ちだったみたい。そのときまで、なんにも症状なかったから気づかなかったんだけど…。運動できない体なんだって。」
「そうだったんだ……。」
もう、こんな顔山ほど見てきた。
可哀想な目で、ガラス細工でも触れるような扱い。
もう、うんざりだ。
「風夏ちゃん、今も続けてるんだね。頑張って。」
できる限り、平静を装う。
今、私……
笑えてる…?
ちゃんと目を見て、話せてる…?
今の自分がどの方向を向いて立っているのかもわからない。
空間が歪んで感じる。
上下左右がまるでどこかわからない…。
目の前が真っ暗ってこのこと…?
私って、
こんな弱い人間だったっけ…?
自分が心底嫌になる。