忘れられるわけがなかった。


あの時、私たちはライバルだったから。


負けたくない。


その一心で苦しい中でも走り続けた。


ううん、苦しくなんてなかった。


走ることが大好きで、走っているときが一番輝けた。


ずっと…

走っていたかった。


「元気だった?あのあと全然見なくなって、心配だった。最後に見たの、苦しそうにしてた明輝ちゃんだったから…。」


ズキッ……


痛い…。
やめて…。
もう思い出したくなんてない…。


「もう、走ってないって聞いたんだけど……。ほんとなの…?」


走ってない…。
ハシッテナイ……。


そう。
わたしは、もう無理。

走ってないんじゃない…。
走れないんだよ……。


だから、もうやめて。
なにも聞かないで…。


苦しい………。