そしてその子の名前を考えるのが面倒くさくなった2人は
そのまま名前を考えてあげませんでした。
そのうち、その子は「人魚」と呼ばれるようになりました。
人魚のお姉さん達はどうしてその子のことを「人魚」と呼ぶのかわかりませんでした。
そしてある時、起きて当たり前のことが起こりました。
その子が大きくなって、小さいうちは自分の名前を「人魚」だと思い込んでいたその子がどうして自分を「人魚」と呼ぶのかお父さんとお母さんに聞いたのです。
2人は正直に理由を話しました。
人魚はとてもショックでした。
だって当たり前でしょう。
読んでいるあなたも考えてみてください。
もしあなたが、「人間」と呼ばれ続けて、それを名前だと信じ込み、あとからその理由を知ったら。
きっとそのショックは大きいでしょう。
しかも、両親に呼ばれてしまうのです。
人魚は悲しみ、途方に暮れてしまいました。
自分は…自分だけは愛されていない。
生きる意味を失いました。
誰にも必要とされていない。
その事実が胸に突き刺さったのです。