私は残りのバイトの時間、空さんと話しながら平常心を取り戻していった。


 結局、今日はカフェに連れて行ってもらうことにした。


 雅暉さんが帰って行ってから、時間が経つのが長く感じた。


 空さんとカフェに行くというのも楽しみなはずなのに、やっぱり雅暉さんが近くにいないだけで気持ちが変わってしまう。


 雅暉さんが近くにいるだけで、ぱっと気持ちが明るくなる気がする。


 フラれてからは少し接しづらいけど、でもそこにいるだけで心がほっこりする。


 慣れた締め作業をあっという間に済ませて、9時15分に私たちは退勤した。


 服を着替えてすぐカフェに向かった。


「苗ちゃんがコーヒー飲むの、なんが意外だね。もっと甘いもの飲んでそうなのに」


「そうですか? 確かに甘いもの全般好きなんですけど、コーヒーはブラックが好きです」


「良いね~。じゃあシフォンケーキ二人で分けて食べようか。時間も時間だし、一個食べるのはちょっと気が引けるよね」


「ふふ。はい、食べましょう」