私たちの間の沈黙をかき消すほどに、周囲の声が大きく聞こえる。

ただコークハイを飲むだけの私に、蒼も痺れを切らしたのか、気を使ったのか。

「もう、聞きたいことはないの。」と尋ねる。

蒼に会ってしまったことに驚いていたけれど、ここは大阪だ。東京からはそうそう来れる場所じゃない。

それなら、早く帰ってもらえば良いだけだ。

「えぇ、凛やお母さんが伝えてないってわかったら十分よ。」

このコークハイを飲んでしまったら、もう帰ろう。
そう思ってグラス持ち上げて唇にまで触れた。

「じゃあ、ここからは俺が勝手に話すよ。」

グラスを傾ける手が止まる。何を、言うの。
蒼は突然手を膝の上に置いたと思ったら―――

「葵、ごめん。」

そして、ゆっくりと頭を下げた。