「どう、して。」

驚いて、言葉が上手く出てこない。嘘、あれからもう3年近くが経っているのに。

凛が教えた?ううん、この前電話した時も、そんなそぶりを見せなかった。
お母さん…?あれだけ口止めしていたのに、言ってしまった?

疑問ばかりが浮かんで、声が正しい音を発せない。

それも蒼には分かっているのか、あの笑顔で、私に近づいた。

「とりあえず、どこかお店案内してよ。もう慣れただろ、大阪には。」
「…分かった。」

本当は今すぐ逃げたいけれど、もうバレてしまっている以上、逃げても意味がない。

それに、驚いているのも確かだけれど、心の底で蒼に会えて喜んでいる私がいる。

自分から蒼を手放したのに、都合の良いことだ、と呆れるけれど。

蒼を連れて、大阪駅からすぐにあるBarに連れて行った。
若者で賑わうようなBarではなく、大人が集まる、けれど静かすぎない丁度良い煩さ。

まだBarへ行くには早い時間なのか、店内は空いていて、私と蒼は奥のテーブルに腰かけた。