「さて、あと配ってないのは五人分だけだね」

「はい！今日は検査でお昼が食べられない人もいませんし、これで最後ですね」

昼食を配り終わったら、カートを厨房へつながるエレベーター前に置きに行かないといけない。それが終わったら食事介助をして、食べ終わった人の食器を下げる。一人でできるかな……。

「花見さん！俺、一番食事介助が大変な人に行くから花見さんは安藤さんの食事介助をお願いしてもいいかな？安藤さんはまだ食べてくれるから」

「わかりました！」

私は昼食を持ち、部屋の前に立つ。緊張しながらドアをノックすると、「はい」と返事があった。

「失礼します」

この部屋に入院している人は、昨日の夕方にやって来た人みたいだ。私は早番だったから会うのは初めて。

「村橋さん、お昼ご飯をお持ちしました」

病室に貼ってある紙に書かれた名前と、昼食に乗せられたプレートの名前が違っていないか確認して私は昼食を置いた。名前が間違っていたら大変だからね。