「あ、ありがとうございます……」

一人でお昼を配るのは初めてだったから、誰かがいてくれるってとても心強い。二人で手分けして患者さんに昼食を配っていく。

「今日のお昼は肉じゃがか〜。おいしそうだね」

「はい!さっきお昼を食べたばかりなのですが、食べたくなってきちゃいました」

そんなことを言いながら重いカートを押し、病室を回っていく。カートは重くて未だにまっすぐ進ませることができない。

「俺が後ろを支えるよ」

幸野さんがそう言い、カートの後ろに回ってくれた。その途端に重かったカートは少し軽くなったような気がする。そして、フラフラすることもなくまっすぐ進めるようになった。

「ありがとうございます!幸野さんには助けてもらってばかりですね」

私がそう言うと、幸野さんは「いや、ゆりりんとか借りてきてもらってるし、患者さんを検査に連れて行ってもらったり、俺たちも助かってるよ」とはにかむ。またドキドキしちゃった。