森の中を街の人たちは進んでいく。その様子をロネは見つめていた。すると、木がゆっくりも動き出していく。

ロネたちだけでは戦うことはできない。そのため、森全体に強い魔法をロネがかけておいたのだ。木々が街の人たちがゾーイのもとに辿り着けないように迷路を作っていき、魔獣や精霊たちが威嚇をする。しかし、魔獣たちも相手にできる人数には限りがある。その人たちの相手をロネとナタリーがするのだ。

遠くからナタリーの美しい歌声が聞こえてくる。セイレーンの歌声は人を惑わす力がある。街の人たちは森の外へ歩いていくだろう。

「あっ!あんなところに人が!」

魔獣たちの目を潜り抜け、数人の人々が森の中を歩いていくのをロネは上空から見つけた。すぐにロネは急降下し、人々の前に立つ。

「ここから先は行かせません!」

ロネがそう言うと、「何だこのガキ」と街の人たちは面倒くさそうな顔をした。

「ガキの遊びに付き合っていられるほど暇じゃねえぞ」