人魚はどんどん深い所まで潜っていく。
ジャックは周りを見渡して、綺麗な海だなと思う。
「ついたわ、ここよ」
ジャックの目の前に大きな重そうな扉が現れた。
「アリーダ様、私です。サリーでございます。」
ギイイイ
「ここは…。」
「ここはアリーダ様の住みかよ」
星空のような天井
ふわふわと光が浮いている。
その先にはぼやっと光るステンドグラスがあった。
「ステンドグラスの絵か……。」
近寄ってよく見ようとしたその時。
「サリー、誰を連れてきたの?」
ステンドグラスの後ろから少女が現れた。歳は…。恐らくジャックと同い年くらいだろう。
濃い青のドレスを着ている所が尚更深海の魔女に見える。
「願いは?」
「ああ、願い。願いは、オルテーン王国のプリンセス、アイリーンを探してほしい。」
「アイリーン王女?ならあなたはコーラルスカイのジャックね」
「どうしてわかった」
「わかるわよそれぐらい」
無機質な目でジャックを見るアリーダ。
「あなたはオルテーンで騎士をしてるわね」
「あ、ああ。」
「アリーダ様、どうしてですか?彼は王子のはず。」
「ええそうよ。だけど彼は次男。彼の兄であるリチャードが王位を継ぐはずだったから、あなたは同盟の証のようなものとしてオルテーンの騎士として、ここ、オルテーンにやってきたのよね」
「……そうだ」
「ではなぜ彼がアイリーン王女を探す必要があるんですか?」
「リチャードは元々アイリーンの婚約者だったわ。アイリーンという人がいておきながら、年下のアイリーンには興味がなかったのか、別の女性と結婚したいと言い出したの。まだアイリーンが8歳の時よ。」
「…。」
「アイリーン王女が8歳の時に失踪したのは知ってるわね。」
「はい。」
「アイリーン王女の失踪はそのせいだと言う風に考えられた。だからコーラルスカイの王様はリチャードに激怒したの。」
「どうして?ですか?」
「それは、コーラルスカイとオルテーンは強い国交関係があるから。この場合、必ずオルテーンは怒るわよね。リチャードが王位を継いだら。」
「そうですね…。」
「そこで王様は次男のジャック、つまりあなたに王位を継がせる事にした。」
「その通りだ」
「したがってアイリーン王女の婚約者もあなたになる。そこまではわかってるわ。聞きたいのはなぜあなたがアイリーン王女を探しているのかよ。最悪アイリーン王女がいなくてもあなたは政治できるでしょ」
「できるよ、でも婚約者が探さないというのは無責任だと思うんだ。婚約者になった以上は探すべきだと思ったからだ」
「なるほど、つまり自分の為ではないと言うことね」
「まあ…。」
「いいわ、願いを叶えてあげる。ただ…。」
「ただ?」
「彼女が失踪したのは10年前。容姿も変わっているし、私が魔法を使って探す事はできないわ。それに彼女の情報が少ない。だから必ず見つかるとは言えないけど。」
「やっぱり難しいのか…。ただ彼女の情報ならある。オルテーン王国の城下町にプリンセスアイリーンの本がある。」
「なら私から提案する代償は、オルテーン王国を案内すること、でいいわ」
「……案内?それだけか?」
「ええ。何か変?」
「ああ。代償なら普通は命とかそういうものだろ」
「命は取らないけど、まあそうね。でもあなたは自分の為にやっているわけではないから、あなたから奪うものがたくさんあってはいけないという決まりがあるのよ。」
「……そうなのか」
「ええそうよ。契約、結ぶの?結ばない選択肢もあるけど」
「…………。結ぶ。」
「そう。わかったわ」
そう言うとアリーダは本を出してきた。
「手を置いて。」
「我、この本に手を置きし者と契約する。汝は消えし人を探し、我は代償を与える。我が契約を全うできなければ汝に願いの瓶を授ける。」
ジャックは考えた。彼女は言わなかったけれど、もしアイリーン王女を見つけられなければ「願いの瓶」というのをくれるつもりなのか
「契約は結ばれたわ。オルテーンの城下町を案内して。」
「ああ。わかったよ」
アリーダは扉をあけ、地上に向かって泳ぐ。
ジャックも急いで後を追った。
ジャックは周りを見渡して、綺麗な海だなと思う。
「ついたわ、ここよ」
ジャックの目の前に大きな重そうな扉が現れた。
「アリーダ様、私です。サリーでございます。」
ギイイイ
「ここは…。」
「ここはアリーダ様の住みかよ」
星空のような天井
ふわふわと光が浮いている。
その先にはぼやっと光るステンドグラスがあった。
「ステンドグラスの絵か……。」
近寄ってよく見ようとしたその時。
「サリー、誰を連れてきたの?」
ステンドグラスの後ろから少女が現れた。歳は…。恐らくジャックと同い年くらいだろう。
濃い青のドレスを着ている所が尚更深海の魔女に見える。
「願いは?」
「ああ、願い。願いは、オルテーン王国のプリンセス、アイリーンを探してほしい。」
「アイリーン王女?ならあなたはコーラルスカイのジャックね」
「どうしてわかった」
「わかるわよそれぐらい」
無機質な目でジャックを見るアリーダ。
「あなたはオルテーンで騎士をしてるわね」
「あ、ああ。」
「アリーダ様、どうしてですか?彼は王子のはず。」
「ええそうよ。だけど彼は次男。彼の兄であるリチャードが王位を継ぐはずだったから、あなたは同盟の証のようなものとしてオルテーンの騎士として、ここ、オルテーンにやってきたのよね」
「……そうだ」
「ではなぜ彼がアイリーン王女を探す必要があるんですか?」
「リチャードは元々アイリーンの婚約者だったわ。アイリーンという人がいておきながら、年下のアイリーンには興味がなかったのか、別の女性と結婚したいと言い出したの。まだアイリーンが8歳の時よ。」
「…。」
「アイリーン王女が8歳の時に失踪したのは知ってるわね。」
「はい。」
「アイリーン王女の失踪はそのせいだと言う風に考えられた。だからコーラルスカイの王様はリチャードに激怒したの。」
「どうして?ですか?」
「それは、コーラルスカイとオルテーンは強い国交関係があるから。この場合、必ずオルテーンは怒るわよね。リチャードが王位を継いだら。」
「そうですね…。」
「そこで王様は次男のジャック、つまりあなたに王位を継がせる事にした。」
「その通りだ」
「したがってアイリーン王女の婚約者もあなたになる。そこまではわかってるわ。聞きたいのはなぜあなたがアイリーン王女を探しているのかよ。最悪アイリーン王女がいなくてもあなたは政治できるでしょ」
「できるよ、でも婚約者が探さないというのは無責任だと思うんだ。婚約者になった以上は探すべきだと思ったからだ」
「なるほど、つまり自分の為ではないと言うことね」
「まあ…。」
「いいわ、願いを叶えてあげる。ただ…。」
「ただ?」
「彼女が失踪したのは10年前。容姿も変わっているし、私が魔法を使って探す事はできないわ。それに彼女の情報が少ない。だから必ず見つかるとは言えないけど。」
「やっぱり難しいのか…。ただ彼女の情報ならある。オルテーン王国の城下町にプリンセスアイリーンの本がある。」
「なら私から提案する代償は、オルテーン王国を案内すること、でいいわ」
「……案内?それだけか?」
「ええ。何か変?」
「ああ。代償なら普通は命とかそういうものだろ」
「命は取らないけど、まあそうね。でもあなたは自分の為にやっているわけではないから、あなたから奪うものがたくさんあってはいけないという決まりがあるのよ。」
「……そうなのか」
「ええそうよ。契約、結ぶの?結ばない選択肢もあるけど」
「…………。結ぶ。」
「そう。わかったわ」
そう言うとアリーダは本を出してきた。
「手を置いて。」
「我、この本に手を置きし者と契約する。汝は消えし人を探し、我は代償を与える。我が契約を全うできなければ汝に願いの瓶を授ける。」
ジャックは考えた。彼女は言わなかったけれど、もしアイリーン王女を見つけられなければ「願いの瓶」というのをくれるつもりなのか
「契約は結ばれたわ。オルテーンの城下町を案内して。」
「ああ。わかったよ」
アリーダは扉をあけ、地上に向かって泳ぐ。
ジャックも急いで後を追った。