女の子よりも綺麗な顔立ちをしてる人にそんなことを言われてしまった。

じっと見上げてみると、切れ長の目差しが捉えてくる。


思わず離そうとすれば許してくれないのも知ってる。



「と、歳三……さん、」


「…やっぱ今日は家でゆっくりするか」



なぜかシュルシュルと帯がほどかれていっているのは気のせい…?

ちゅっと合わされた唇は耳へ落ちて首筋へ這わせて、露になった肩へ落ちてきているのは……。


気の……せい……?



「ひ、土方さん…っ、なにしてるのっ」


「無理だな、もう。どんだけ我慢してると思ってやがる」


「ひゃぁ…っ」



真っ昼間だ。

薄暗い夜ですら恥ずかしくて気絶ばかりしているというのに、こんな明るいところでなんて。



「だめ…っ、」


「女が言う“駄目”は“もっと”っつう意味だ」


「えっ、じゃあもっと…っ」


「…わかった。てめえが言ったんだからな」


「どうしてそうなるの…!?」



耳を優しく這う舌に混ざる、熱い吐息。

これが一番に私を骨抜きにするものだ。



「副長、すみませんが官帽を忘れてしまっ───」



と、縁側の先に現れた先程の男が1人。

私達を見つめて呆然と立っていた。



「………失礼しました」


「…鈍ったか。お前なら気付かれねえように出来たはずだろ斎藤」


「…まさかこんな昼間から堂々と致しているとは思わず」


「嫁が可愛いこと言ってりゃあ昼だろうが夜だろうが関係ねえな」


「ふっ、梓も大変ですね」



私の悲鳴が先か、爆発音が先か。

あの頃とは少し違う男達の空気感に追い付ける日は来るのかな…。