そのときに連れられた場所は、立派な門構えをした一軒家。
庭には竹が植えられており、それは土方さんが子供の頃に植えたものだという。
弟の帰還にたくさんの兄弟達は集まってどんちゃん騒ぎ。
そしてお姉さんに本当のことを話すと、それは近所の人にも伝わり、最終的に村一番の笑い話にまでなってしまった。
「ふっ、」
「笑わないでっ!それに江戸には……土方さんを知ってる女の人もいっぱいいるから嫌…」
かつて恋仲だった女達は噂を聞き付けては駆け寄ってきた。
あんな思い2度としたくないというのが本心。
そんな私の気持ちを読み取ったお姉さんは「歳三が家に女の子を連れてきたのはあんたが初めてよ」と、言ってくれて。
「比べるまでもねえな。不細工ばっかだ」
「なに言ってるの……すごく綺麗な人ばかりだったよ。みんな女優さんみたいだった」
「顔とかじゃねえんだよ」
……それは私が顔は可愛くないと言われてるのと同じだ。
ぷくっと頬を膨らませれば、ふっと笑って唇が重なった。
「てめえが思ってるより、お前は悪くねえぞ」
「…いいよ別に。土方さんに言われても嬉しくない」
「拗ねても可愛いだけなんだがな」