「副長、梓をずっと守り続けてくださり…ありがとうございます」
思い出を甦らせていた私の前、斎藤さんは頭を下げた。
彼は一度仲間と決めた者には何があっても裏切らない男。
私のこともちゃんと仲間だと思ってくれたんだと、じわっと涙が浮かびそうになった。
もっと話しておけば良かった…なんて後悔も生まれて。
「また来いよ斎藤。次は嫁と子供連れて来い」
「はい、ぜひ」
そして斎藤さんは改まって私を見つめ直した。
じっと見つめてくる眼差しは、かつてのものと変わっていない。
「…男としてよく生き通したな梓。気付いてやれなくてすまなかった」
「う、ううんっ。そしたら逆に新撰組に居られなくなっちゃってたから…」
「だとしても隠すだろうな。あんたが毎日頑張っている姿は俺達がいつも見ていた」
怪我をしたり、怪我をしたり。
隊士に悪く言われたとしても気にせず毎日雑用をして。
決して褒められなくとも、毎日毎日続けていた過去の私。
「本当はいつも声をかけてやりたかったんだが。俺も組長という立場にあった、贔屓は出来なかった」
その分総司がよく気にしていた理由が分かった───と、斎藤さんは微笑んで去って行った。