それは忘れたいわけじゃない。
ずっとずっと背負っていかなきゃいけないもの。
だけど、あんな悪夢のような言葉は考えたくないから。
「…どうすれば、いいの…?」
「俺に抱かれとけ」
言葉の意味を理解するまで数秒。
遠くでフクロウの鳴き声が聞こえて、キラッキラッと星が瞬いて。
コテンと首を傾けてしまった。
「もう…抱かれてるよ…?」
「………あ”?」
「え、」
どうして土方さん怒ってるの…?
私いま、そんなに変なこと言っちゃった…?
「どういう意味だこの野郎。…お前、もう抱かれたのか」
「う、うん」
「誰にだ。そいつはすぐに俺が斬る」
「ひ、土方さん……」
鳩が豆鉄砲を食らったみたいだ。
「は?」と、土方さんらしくない間抜けな声が丑三つ時の夜に響いて消える。
「待て、全く記憶がねえんだが。…泥酔するくらい酒でも呑ませたか俺に」
「う、ううんっ!今、抱かれてるよ…!」
「……」