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「───はっ…!!」
暗い部屋、木目の天井。
まだ日は明けていない丑三つ時の夜。
「はっ、…はっ、」
そこは賑やかな京の町ではなく、北の大地に位置する静かな田舎。
小川の音がチョロチョロと聞こえてくる古民家の1つ。
隣にはスースーと寝息を立てて目を閉じる大好きな人。
悪夢、だ。
こんなにも現実的なものを見たのは初めてだった。
「……お水、」
起こさぬよう汗ばむ身体をゆっくり起き上がらせる。
ふらふらな足取り、心臓はドキドキバクバクとうるさい。
勝手場へ向かって、山から下る井戸水を小ぶりな椀に注いだ。
「お風呂、入ろうかな…」
寝れる気がしない。
眠るのが怖くなってしまうくらい、今日の夢は思い出したくないものだった。
こんなことは初めてだ。
「うぅ…っ、ぅ…っ、」
悪夢、幻覚。
それに惑わされちゃいけないと分かっていたとしても。
私の中にはいつだって後悔が追いかけてくる。