思わず目を擦った。
そしてもう1度読んでみる。
今度は声に出さず、文字だけに集中する。
何度読んでも文字は確かに“恋”と書かれてあって…。
「…こっんのクソジジイ」
土方さんの舌打ちに、ハッと意識が戻った。
やっぱりそう書いてある…。
間違いない、これは私宛の恋文なのだ。
それもまさかの───…お爺さんからの。
「貸せ」
「あっ!土方さん!どこ行くの…!」
手紙を奪ったその人はスタスタと部屋を出ていった。
そして中庭に降りて、素早く火を付ける。
「わぁ…!待って土方さん…!初めて貰ったお手紙なのに…!!」
「こんなモン論外だろ」
とうとう燃やしてしまったその男。
パラパラと灰になったお爺さんの気持ち、初めてもらったラブレター。
「土方さんのばかっ!!ひどいよ!自分は毎日貰ってるくせにっ」
「こんなジジイの文なんか気持ち悪いだけだろうが。手紙が欲しいんなら俺が書いてやる」
じゃあ女の子達からの手紙は気持ち悪くないの…?
土方さん嬉しいの…?
「そ、そういう意味じゃなくて…!」
燃やすことないのに…。
土方さんはこんなの日常茶飯事かもしれないけど、私にとっては初めてだった。
「てめえが惚れてんのは俺だろ。俺だけ見ときゃいいんだよ」
八つ当たり気味に言われた言葉に、胸が高鳴ってしまったのは秘密。