それはただ単に探りを入れる為か、それとも他の感情があるのか。
私と同じ気持ちを土方さんも持っているのかな…なんて期待はしないようにした。
とりあえず書いてあるままを読み上げる。
“私はいつかに草履の鼻緒が切れたところを、あなたに助けてもらった者です。”
“どうしてもあなたにお礼が言いたくて、町中に少しでも知っている人は居ないかと聞き込みをしたところ、土方 梓さんという名だと存じ上げました。”
“そして私もお世話になっている呉服屋の主人の知り合いということで、こうして手紙を送ったまでです。”
「やっぱり…。普通の優しいお爺ちゃんだよ」
「まだ分かんねえだろ。俺の勘は当たる」
“こんな老人に優しくしてくれるなんて、年甲斐もなく感謝しております。”
“あなたのような方は初めてで、今もその笑顔が頭から離れないのです。”
“また会いたいと思っている私が居ます。これは、この気持ちはどうやら感謝だけでは無いのだと。
そう思ったらこうして筆を取っておりました。”
「え……。」
“梓さん、私はどうやらあなたに恋をしてしまったようです。”