どんなに身動きをしても彼からしてみればどうでもいいことらしい。

まるで気にすることなく、ゆっくりとほどいていく。



「まって土方さん…っ!」


「待たない、俺ぁ十分待った」



頭がくらくらする、息も荒くなってくる。

少し酸素がまだ足りてない。


“土方さん”

そう呼ぶと彼は1度では返事をしてくれないときがある。



『お前も土方さんだろうが』



そう言って少し拗ねた顔をするのだ。


だから───…



「と、とし……歳三…さん…!」



ピタリ、その動きが止まる。

脱がされてしまう寸前で止まったことにより、一応私の理性はまだ効いていた。



「あ、あの、こういうのは……その…」


「お前中々やるじゃねえか」


「へ…?」


「それはかえって逆効果っつうんだ。煽ったのはお前だぜ」


「んっ…!」



この人はたぶん、色んなことに慣れている。

キスだって上手、その手付きだって何よりもスムーズ。



「んんっ…!ぁ…っ」



ふわふわ今にもとろけそう…。

全身の力が一瞬にして抜けてしまう…。


ふわっと、土方さんの匂い。
たまに漏れる吐息、微かな水音。

全部に心臓が持たない。



「んっ……ひゃぁ…っ」


「…なんつう声出してやがんだ」