───その瞬間。


胸に顔を埋める私の顎が強引にクイッと持ち上げられたかと思えば。



「んっ…!」



涙で湿る唇に、それは落ちてくる。



「ひじか───…んん…っ!」



今までの触れるだけのものとは比べ物にならなかった。


角度を変えて何度も何度も。

涙が混ざってしょっぱいのに、そんなもの気にすることなく啄むものから噛み付くようなもの、様々だった。


息が出来ないと酸素を求めようとしたところに、また迫るように入ってくる。



「…言っただろうが。なにするか分かんねえって」


「はぁ…っ、んっ」


「無理してるっつうのはこういうことだ」



後頭部を押さえられ、逃げ場なし。



「んっ…は…っ、んん…っ!」


「足りねえんだよ、そんな甘ったりぃだけじゃ」



胸をトントン叩こうとしても、その手さえ捕らえられてしまう。

必死に応える私を見つめてくる鋭い視線。


───…また、その目だ。