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その日の朝は全てが優しく感じた。


襖から覗く太陽の光も、小鳥たちのさえずりも。

木漏れ日のようなその人の腕の中も。



「未知の……世界…」



表すならこれ。
きっと、これ。

それでも何よりも愛に溢れたものだった。

たぶん、今までで一番の。


思い出すだけで恥ずかしいくらい、本当にぜんぶをあげてしまった。



「…ご飯…作らなきゃ…」



体が少し、特に腰辺りが重いような怠いような…。

それでも嫌なものじゃない。


そして私は今、裸だ。

なぜ裸なのか。

それはそうだ。
別にわざわざ言うことじゃない。



「っ…!」



そして私に腕を回すように抱きしめながら寝ている彼もまた、裸だ。

なぜ裸なのか。
それもわざわざ考えることじゃない。



「き、着替えなきゃ…っ」



むくりと起き上がって着物へ手を伸ばす。

隣に眠る綺麗な人を起こさぬよう、ゆっくりゆっくり。


グイッ───!



「わぁ…っ!?」



ポスンッ。

けれどすぐに腕の中へと戻ってしまったらしい。