1人のとき、それは土方さんと離れた空白の期間だ。


たった1人、この地に連れられてその日から半年以上暮らしていた。

最初は料理も全然上手では無かったけど、毎日作っていれば作るほど腕は上がっていって。



「最初は大根も均等に切れなくて、凄く太い沢庵を食べてたんだよ。
あと塩辛過ぎて当分はおかずがそれだけだったりしてね」



思い出しては笑う私と反対に、土方さんはじっと見つめる。



「いつか帰って来たときに美味しい沢庵を出してあげたいなって…」



それまでここで1人で毎日ご飯を食べていた。

ここに来る前は近くには必ず土方さんや鉄之助が居て、寂しさは無かった。


けれど離れてしまったとき、最初は確かに寂しくて。

でも土方さんが用意してくれたこのお家で過ごす生活は、嫌ではなくてむしろ有り難かったから。


近所の人はみんないい人だし、夜は星だって綺麗。



「───…ありがとうな」



土方さん、その顔は外でしちゃ駄目だよ。

…とは言えないまま。


私も柔らかく微笑んだ。