「見られたくないの…っ、見ないでっ」



いやいやと振りほどこうとしても、無謀すぎる。

男の人の力になんて敵うわけがなく。



「んっ…、」



そんな私を黙らせるかのように唇が塞がれたと思えば、次に彼はゆっくりと体をずらして。

その傷1つ1つに唇を落としていく。



「ひゃっ…ぅ、…やだよ、土方さん…」



恥ずかしくて死んじゃいそうだ。

私の抵抗など気にすることなく、唇で撫でるように這わせられてゆく。


罪滅ぼしか、それとも同情か。

それともどちらでもない何か。



「───…綺麗だよ、お前は」



暗闇の中つぶやいたその人の方が見とれてしまう程に綺麗だと思うのに。



「土方……さん……」



───…彼は涙を流している。


静かに、その頬に伝ったものは彼の全てだと思った。



「どうして…泣いているの…?」



あなたは今まで全てを背負って、そして全てを守ってきて。

その分、全てを失って。


そんな中でもいつだって1人の少女に幸せを与えてくれた。



「泣かないで、なかないで…、」



頬を包んで必死にそう言ってみても、それは止めどなくもっと流れてしまうだけだった。