勝手場は使い慣れたものだった。

釜戸の火の付け方だって、この時代の調理器具の使い方だって。


もうあれから7年が経つ。


最初は沖田さんに付けてもらっていた火も、今では1人で楽々こなせるようになっていて。



「うん、美味しく出来てる」



土方さんの好みの味付けだってお手のもの。

あの人は薄味が好き。


お酒をあまり呑まない人は薄味を好む、と聞いたことがあるけど…。

確かに彼はあまりお酒は強い方では無かった。



「また美味くなったんじゃねえか」


「本当?近所のヨネさんに美味しい漬け方を教えてもらったんだ」


「わりと器用だもんな、お前」



手作りの沢庵をポリポリと噛みながら、囲炉裏を挟んで向かい側に座る私を柔らかく見つめてくれる。


沢庵は土方さんの好物。

毎日毎日漬けて、おかずの一品として出している。



「1人のときも、いつも作ってたの」