「恋人ができていつか結婚して子供ができても……一輪の花……わたしに会いに来てね」


 一体何を言っているの……⁉

 加恋ちゃん、なんでそんなことを言うの……⁉


 加恋ちゃんが……加恋ちゃんがいない世界で……僕は生きていけない……‼


 ……おかしい……身体は全く動かないのに……。

 涙は……涙は大量にあふれ出てくる……。


「泣かないで、優くん。わたしは死ぬわけではないから。また花としての生活に戻るだけだから」


 そんなことを言われたって……辛いに決まっているじゃないか……‼


 加恋ちゃんは辛くないの?


 声が出たら全部言えるのに……‼


「……そろそろ時間みたい……」


 ……え……⁉


「じゃあ、優くん、今までたくさんの想い出と幸せをくれて本当にありがとう」


 ……加恋ちゃん……‼


「……でも……最後に一つだけ……」


 ……‼


 ……加恋ちゃん……。


 加恋ちゃんは僕にそっとやさしくあたたかな……キス……を……。


 そして加恋ちゃんは僕からそっと離れて……。


 天使のような笑顔を見せた。