「……加恋ちゃん……」


「……でも、わたしも優くんと一緒にいたい。その気持ちに嘘はないの」


 下を向いていた加恋ちゃんは顔を上げて僕の方を見た。


「加恋ちゃん……」


「わたしは優くんのことが好き、大好きなの」


 加恋ちゃんは身体ごと僕の方に向けて抱きついた。


「僕も大好きだよ、加恋ちゃん」


 僕も加恋ちゃんのことを抱きしめた。





 結局、僕と加恋ちゃんは歌をほとんど歌わずにカラオケボックスを出た。



 そろそろ帰る時間がきて、その帰り道。


 僕と加恋ちゃんは手をつないで歩いていた。


 僕は、さっきのことを加恋ちゃんに謝らなければいけないと思った。


「加恋ちゃん、さっきはごめんね、僕、また加恋ちゃんに、あのことを訊いてしまって」


 時期が来たら言うって加恋ちゃんに言われているのに、また僕は……。


「気にしないで、優くん。わたし、すごく嬉しかったよ。優くんに『ずっと一緒にいてほしい』って言ってもらえて」


 ……加恋ちゃん……。


「加恋ちゃんに『嬉しい』って言ってもらえて僕もすごく嬉しいよ」