そうしている間に曲が流れ始めた。


 ……あ……この曲は……。


「優くんと一緒に歌いたくて」


 加恋ちゃんは少し恥ずかしそうにしていた。


「うん、一緒に歌おう」


 僕も加恋ちゃんと一緒に歌いたいと思った。


 加恋ちゃんが選んだ曲はデュエットだった。


 そして僕と加恋ちゃんは一緒に歌った。


 加恋ちゃんと一緒にデュエットを歌っていると少しムードが出てきた。

 ムードが出てきて僕は思っていた。

 もっと加恋ちゃんに触れたい……。

 隣で座っているだけでは、もの足りない……。

 そんなことを考え出したら、そのことで頭がいっぱいになって止まらなくなった。

 もはや歌どころではなくなってきていた。


 そう思っている間に加恋ちゃんとのデュエットが終わった。


 加恋ちゃんは何を歌おうかなと言いながら曲を選びだした。


 僕の心の中は……もうそれどころではなかった。


 僕は加恋ちゃんの方を見た。


 加恋ちゃんは曲を選び続けている。


 曲を選び続けている加恋ちゃんの美しい横顔。


 そんな加恋ちゃんに僕は引き寄せられた。