「加恋ちゃん、次はどこに行きたい?」


 僕がそう訊くと、


「優くんが行きたいところに行きたい」


 加恋ちゃんは笑顔でそう言った。


「僕が行きたいところでいいの?」


「うん」


 加恋ちゃんは、もっともっとかわいい笑顔を見せた。


「じゃあ、どこにしようかな……」


 僕は、どこに行きたいか考えた。


 ……あっ……。


 そういえば加恋ちゃんが転校してきたときに、誰もいない教室で一人歌っていた加恋ちゃんの歌声がとても美しくて聴き入ったな……。


「加恋ちゃん、僕、行きたいところ決まったよ」


 僕が行きたいところ……。


「カラオケに行きたい」


 加恋ちゃんの美しい歌声を聴きたい。


「わたしもカラオケに行ってみたい」


「加恋ちゃん、カラオケに行くの初めて?」


「うん、だからとても楽しみ」


 加恋ちゃんは、とびきりの笑顔を見せた。


 僕は、そんな加恋ちゃんの笑顔に、とろとろにとろけていた。


「じゃあ、行こう、カラオケ」


「うん」


 カラオケに行くことが決まった僕と加恋ちゃんはカラオケボックスへ向かった。