「……そ……そんなに見ないでよ」


 やっと出た言葉がそれだった。


 加恋ちゃんを抱きしめているところを男子たちに見られて僕は恥ずかしくなってきた。

 そのせいか、顔に集中して血液が集まってきたかと思うくらい僕の顔は熱くなっていた。


「あぁ~、草野くん、顔真っ赤、か~わい~い~♡」


 そんな僕をさらに茶化す男子たち。


 もうこれ以上どうすることもできない‼

 そう思ったとき……。


「わたしは優くんと一緒にいることができて幸せです」


 加恋ちゃんが、加恋ちゃんのことを抱きしめている僕の腕をそっと離してから、男子たちの方を見てそう言った。


「「「おぉぉ~」」」


 加恋ちゃんの言葉に男子たちが感心するかのようだった。


「じゃあ、帰ろう、優くん」


 そこには笑顔の加恋ちゃんがいた。


 僕は、そんな加恋ちゃんのことを見て幸せな気持ちになった。


「それじゃあ、みなさんまた明日学校で」


 加恋ちゃんは男子たちにそう言った。


「お、おう、また明日」


 男子たちは加恋ちゃんの落ち着いた言動に、あっさりとおとなしくなった。