愛美ちゃんも帰る準備をしていた。

 そして帰る準備が終わった、愛美ちゃん。

 帰る準備が終わった愛美ちゃんは、そのまま教室を出るのかと思った。

 すると愛美ちゃんは僕の方に向かって歩いてきた。


「ねえ、優くん。優くんは何か部活はやってるの?」


 そう訊いた、愛美ちゃん。


「うん、園芸部をやってる」


「園芸部……なんか優くんらしい」


「僕らしい?」


「うん。だって優くん前からずっと植物たちのことをとても大切に可愛がっていたでしょ」


「うん、好きだから」


「『好きだから』……か……。なんか植物たちが羨ましい」


「そうかな」


「そうだよ。あっ、ねえねえ、優くん、わたしも園芸部に入ってもいい?」


「もちろんだよ。植物たちを可愛がってくれるなら大歓迎」


「……あの子も……いるの……?」


「あの子?」


「優くんの彼女の花咲さん」


「うん、加恋ちゃんも園芸部にいるよ」


「……そう……なんだ……」


 愛美ちゃん……?


「いつから付き合ってるの?」


「夏休みに入ってすぐ」


「そっかぁ、惜しいな……」