僕は覚えている。
なぜなら……。
愛美ちゃんは……。
愛美ちゃんは……僕の……初恋の人……だから……。
あれは僕が幼稚園児の頃。
愛美ちゃんとは幼稚園が一緒でよく遊んでいた。
僕の親と愛美ちゃんの親は仲が良いというのもあって、僕と愛美ちゃんは家族ぐるみの付き合いだった。
そして幼稚園を卒園して小学生になり、一年生のときもよく遊んでいた。
でも、小学二年生になるときに愛美ちゃんは引っ越してしまった。
そこで僕の初恋も終了してしまった。
そんな思い出のある愛美ちゃん。
僕は懐かしさもあるし愛美ちゃんに話しかけようとも思ったのだけど……。
そこはちょっと待って。
愛美ちゃんが必ずしも僕のことを覚えているとは限らない。
もし声をかけて愛美ちゃんに「あなた誰?」って言われても恥をかくだけだ。
僕は愛美ちゃんに話しかけるのはやめようと思った。
そのとき……。
「優くん‼」
……え……。
「優くんでしょ? ほら、わたし、愛美。覚えてる?」
愛美ちゃん……覚えてくれていた……。