僕は片付けて持ってきた物を加恋ちゃんに見せた。


 加恋ちゃんは笑顔だった。


 ……笑顔……。


 僕は、また昼休みのことを思い出してしまった。


 昼休みのときに他の男子たちと笑顔で話していた、加恋ちゃん。


 確かに人と話しているときに無愛想というわけにはいかない。


 ……ただ……別に笑顔で話さなくても……と思ってしまう。


 無愛想はまずいかもしれないけど、普通の表情でいいのではと思ってしまう。


 女子たちになら笑顔で話してもいいけど、男子には……。


 他の男子たちには笑顔で話してほしくない。


 加恋ちゃんの笑顔を他の男子たちには見せたくない。


 僕だけが加恋ちゃんの笑顔を独占したい。


 そう思ったら……。


 僕の手は動いてしまっていた。


 まず倉庫の扉を閉め……。


 その後加恋ちゃんに……。


「優くん⁉」


 僕は後ろから加恋ちゃんのことを抱きしめていた。


「優くん⁉」


 僕の突然の行動に加恋ちゃんは驚いていたけど、僕はそのまま加恋ちゃんのことを抱きしめ続けた。