「おまたせしました
熱いから気を付けてください」


香ばしいいい匂いがした



「いただきます
優香さんは?
今日、飲まないの?」



「私は今日はいいです

九條さん、
この間のこと…
怒ってますか?」



この間…


酔ったこと?




「いや…ぜんぜん…」



「なんか今日
九條さん、口数が少ないから…」



「あぁ、スミマセン…
ちょっと考えごと…」



「さっきの人のこと…
気にしてますか?」



「え、あぁ…
うん… 少し…

優香さんて、オレのこと…」



好きだったり、します?



「じゃなくて…
オレ、優香さんのこと

好き、です…

だからたぶん
さっきの人のことも気になるし

だからこの間
誘いました

だから今日も
会いたくて

ここに来ました…」



「…」



「スミマセン…急に…」



やっぱり

オレの期待はずれ




「…嬉しくて…
ドキドキしてます…」



「え…?」



カウンターの向こうにいる優香さんは

日本酒を飲んだ時みたいに

頬が赤かった