「三菅。きっと空は100年後、まだまだ遠くにあるから」


「……どういうこと?」


「手の届かないほど遠くだから、絶対、猫が察知できない日もある」


だからさ。佐脇が笑う。


「俺がもし猫を見て、顔を擦ってないから晴れだろうって思った日。雨になったら入れて欲しい」


そこだけ聞いたら、うわこいつってなったと思う。多分。


「そもそも猫を見てなくて雨の日、入れて欲しい」


そしたらさ。


愛。アイの滲み出す、頬。熱の滲み出る、頬。


「一緒に帰ろうよ」