まさか、もうその晩に、記者に突撃されるとは思いも寄らなかった。
局を出たところで、某週刊誌の記者に呼び止められた。

「高岡さん、ちょっとお話しいいっすか?」
「え、はい。」
「僕こういうもんです。」
名刺を差し出され、ゲゲっとなる。なんだよう。
「………………。」
「色々良い写真が手に入りましてね。」
「………………。」
すげーな。もう話漏れてんよ。。。
カホはもう会社に話ししたんかな。。。
「高岡さん?」
俺は少し苦笑して
「はあ。」
「これなんですが、、、、」
とタブレットを見せられて、何枚かスクロールをして写真を出す。
湘南の海沿いのレストランでカホと食事しているところや、二人で手を繋いでホテルに戻るところが結構鮮明に写っている。
へえええ、全然気がつかなかったな。
しかし、今の技術はすごいな。 遠目からでも、夜で暗くてもこんなにくっきりと写るんだな。

「高岡さん、よしのも女優の山本アサミとも噂ありますけど、彼女は誰なんですか?隅に置けないなあ。」
「………………。」
「いったい何股かけちゃってんですか?」
ニヤニヤとそんな風に聞いてくるから、ちょっとムッとする。
「よしのとは元々そんなんじゃないですよ。戦友みたいなもんです。アサミさんとも前に書かれていたような事は無いです。あちらも迷惑だと思いますよ。」
「しかしこれは手ェつないじゃってるし、ホテル入っちゃってるし、言い訳できないっすよね?」
「………………………。」
なんなんだ。勝ち誇ったようになあ。
ほんとマジプロポーズしてなかったら、カホに迷惑かけてしまうと思って焦っただろうな。。
「高岡さん、どうなんすか!?」
「え、あ、はいはい。」
「この子は、一般人ですよね?」
「はい。そうですね。」
「ファンとか?そういう子にも手を出しちゃっている?」
まあ、カホは俺のファンだけどな。確かに。
「…………………これってもう記事に載っちゃうんですか?」
「ええ、まあもう事務所にはゲラが今頃回って、明日にはネットニュースに出るでしょうね。」
「あ、そう。………………うーん。じゃあもう事務所も話いってるんすね。」
「ええ。 まあ、場合によっては記事の一部分を書き直すとかはできますけど。」
俺は苦笑して、まあ事務所に任せるか。言いたい事は山ほどあるけど。
数日後には 結婚報道が出るわけだけど、この記者に 先に知らせるのもシャクだ。
その前に何股愛とか遊び人とか有る事無い事書かれる可能性もあるけど。もおええわ。
「お手柔らかに。」
俺はそう言って、迎えの車に乗り込んだ。