俺はベッドの中でまたうじうじと考え始める。

だいたいなぜカホは、俺の部屋にアッサリとやってきたのだ。
病人とはいえ、男の部屋だぞ。 警戒心が無さずぎる。
そういう天然ちゃんなのか? そんなんだといろいろ心配になってくる。


いや、違うな。 俺の様子を見て本当に心配になってやってきた心の優しい娘だ。
まさか俺がオオカミになるなんて露とも思っていない。
つまり、……………俺を全く男として意識をしていない。
それが一番近い答えだ。

俺は、大きくため息をつく。
なんだかさらに具合が悪くなったような気がする。


寝室の扉が開く音がして、カホが入ってくる。
「高岡さん、寝ちゃった?」

「………いや。」
俺はゆっくり起き上がる。
ボサボサのロン毛にむさ苦しい無精髭のオッサンが現実なんだから、こんな男の様子を見にきてくれたカホはまるで天使だろ。