「すげぇ。

これがカノンちゃんの力かよ」



桜介はそうつぶやき、みるみるうちに治っていく時宗のケガを見つめていた。



カノンはやっぱり最強の癒し系なんだと思いながら。



でもそのとき、薄暗かったこの夢の中の世界が更に明るさを失い、闇に包まれようとしていた。



その異変に気づいた愛理が舞の大切な夢の方に目を向けると、舞の大切な夢が放っていた微かな光がさらに弱くなり始めていた。



「大変だよ。

舞ちゃんの大切な夢が光を失おうとしてる……。

このままじゃ、舞ちゃんの大切な夢が消えてなくなっちゃう……。

舞ちゃんを救えなくなっちゃうよ」



愛理がそう言ったすぐ後に時宗はこう言った。



「春野と園宮は先に舞の大切な夢がある場所に行ってくれ。

オレも後から駆けつける。

如月舞の夢を救うために!」



「でも、時宗君……」



愛理がそうつぶやいたそのあとに、桜介が愛理の肩を軽く叩いた。



「行くぞ、愛理。

舞ちゃんの大切な夢をオレたちが守るんだ!」



愛理は桜介にそう言われ、桜介の方に目を向けた。



すると桜介は今まで見たことがないような真剣な表情で、愛理の顔を見つめていた。