私は文句を言おうと家へと向かう。幸いにもこのカラオケボックスから家までは近い距離にある。

「天宮さん!どうしてこんなに電話をーーー」

「雪〜!!やっと帰って来た〜!!」

玄関のドアを開けた刹那、私は天宮さんに抱き付かれた。グラリとよろけた体はそのまま倒れてしまう。でも天宮さんは私を離そうとしない。

「雪と離れるの嫌で電話しちゃった。もうずっと一緒にいたい〜」

天宮さんは私の頰や耳たぶにキスをしてくる。ぶっちゃけドキドキしているけど、言いたいことは言わせてもらいます!

「天宮さんはいいかもしれないけど、私は不快に思った。この時点で迷惑電話という犯罪行為になります」

「えっ?そうなの?」

「迷惑なのでやめてください」

「雪、僕のこと嫌い?」

天宮さんは瞳を潤ませる。私は「嫌い……ではないです」と天宮さんから顔を逸らした。はあ、何だこの可愛い成人済み男性は。まあ本人には言えないけど……。