どちらからともなく、また歩き始める。



君はさっきまでの深刻な面持ちなんてすっかり忘れたように、楽しそうに話し始めた。

そんな君の笑顔を見ながら、今度は私がぐるぐると考え事を始めてしまう。


永遠を信じる、関連する話題が上がった時に、いつも考えてしまうことがもう一つあったのだ。



それは、私は永遠を信じることが出来ないのに、大切な人には無邪気に信じていてほしいと願ってしまう、ということ。

なんて理不尽で自分勝手なんだろう。



分かっているから、決して口にはしない。


君には少しも無理してほしいと思わないし、こんな私の願いを重圧に思ってほしくない。

永遠を信じられないのは、痛いほど分かるから。



「ねえ見て、あの犬、もさもさで可愛い」



君は向かいから歩いてくる散歩中の茶色い毛むくじゃらの犬を指差して、小声でそう言った。


君は犬好きで、中でも毛がふさふさの犬が好きらしかった。

私も元々犬は好きな方だったが、君の影響で以前に比べれば随分可愛いと感じるようになっている。


君はあからさまにその犬をじっと目で追ってから、俺も犬飼いたいなぁと、もはや口癖のような一言を口にした。


飼いたいねぇ、君の一言に対する私のお決まりの返答。

このやり取りはもう数え切れないくらい何度もした。



でも、今日は。



頭の中でこんなことを考えていたからだろう。


君のあの寂しそうな笑顔も、後押しになったのかもしれない。


お決まりのやりとりにもう一言、付け加えてみることにする。



私はやっぱり大切な人に永遠を信じていてほしいから。

だから私は大切な人のために、強くなりたい。



私は私なりの精一杯で、短い永遠を信じることにする。