そこから、私は新菜と一緒にトイレに隠れることになった。


 ……私は1人で隠れたかったんだけど、新菜がついてきたから仕方なく。


 扉越しに廊下に耳をすますと、


 す……っ、す……っ


 と着物が廊下に引きずられる音がする。


 その音は一度階段の前で止まって、どうか来ないでくださいという私の願いも虚しく、こちらに向かってきた。


 だから私は新菜に指示を出した。


「個室に隠れて」