――――あ゛ン?


「あたし、いいよ? レイくんなら」


耳元で囁き、膝に手を乗せてくる、みゆ。


「誰にでも言わないよ。こんなこと」


…………小悪魔め。


「みゆちゃん。ちょっと」
「あ、ごめーん。行ってくる。待っててね?」


別の客から指名が入ったみゆが、離れたテーブルに行く。


クソビッチが。


どうせキスすらさせてくれねえんだろ。


思わせぶりな態度とって客をその気にさせて、また店に来てもらう。


そういうことだろ?


と、わかってはいても。


「……かわいいじゃねえか」


かわいいは正義。

男という生き物は、つくづくオンナに弱いのだ。