「それっぽく、とは」
「ハードル高めな恋を叶える最速ルートは既成事実を作ってしまうことだって教えてくれたの高杉でしょ?」
「……記憶にごさいません」
「ほんと使えない。センセがわたしから逃げられなくなるような写真撮ってくれなきゃ」
「と、いいますと」
「もういい。黙ってシャッターだけ押して」
と、その前に
口元のほくろは、いったん落としておかなきゃ。
「お嬢様。嫁入り前の女性が異性の前でそのような姿になるのは」
シャツを脱ぎ始める私に高杉が口を挟む。
「いいの。わたしはセンセと結婚するんだから」
「私がおりますが」
「あんたはオムツ交換してたんだから問題ないでしょ」
裸になり、布団にもぐると
センセに抱きついた。
はあ、幸せ。
このまま抱きしめ返してもらえたら、もっと幸せになれるのに。