ロネはその美しい涙を拭い、アテナをまた抱き締める。

互いの鼓動は、緊張しているというのに穏やかだった。

それから一時間ほどしてロネとアテナのもとにネイサンとナタリーが走って来た。二人ともゼエハアと荒い息を吐きながら、街の人たちのことを話し始める。

「街の人たちは、三日後にこの森に入ってくるらしい」

「街の男性たちが集まっているから、数は千人を超えているよ!」

ネイサンとナタリーの言葉に、ロネはアテナの顔を見合わせる。アテナが殺しに優れていても、ロネが魔法が使えても、千人以上の人や魔族を相手にすることは難しい。

「街の人たちを説得するのは不可能に近い。だから、この森にバリケードを作ろう。侵入者をできるだけ減らすんだ。そして、誰かにアテナの真実を話して説得する。これしか方法はない」

ネイサンがそう言い、ナタリーも「それが一番いい方法だよね!」と頷いた。ロネとアテナも賛成する。争っても逆にアテナが危険視されるだけだ。