「アテナ〜！！アテナ〜！！」

森に入るとすぐにロネはアテナの名前を呼んだ。もうアテナは街の人に襲われてしまったのかと思うと体が震えてしまう。

「お前、学校じゃないのか？」

驚いた顔をしながらアテナが姿を見せる。ロネは安心し、「アテナ！！」と叫びながら彼女を抱き締めた。アテナの体は変わらず温かく、柔らかい。

「お、おい！？」

戸惑っているアテナに、ロネは「聞いてほしいことがあるんだ」と真面目な声で言った。何かを察したのか、アテナは黙る。

ロネは街であったことを包み隠さずアテナに伝えた。抱き締めているため、アテナがどんな顔をしているのかロネにはわからない。しかし、その体が小刻みに震え始めていた。

「私は多くの者に命を狙われているということか……」

「そういうことになるね」

ロネはゆっくりとアテナを離す。アテナは泣き出しそうな顔をしていた。

「一体誰がそんな紙を作ったんだ！私のことを知る者はいないはずなのに……！！」